電動ファットバイクは違法なの？合法の条件や選び方と注意点を解説

パワフルな走りと、無骨でスタイリッシュなデザインが魅力の「電動ファットバイク」。

街で見かける機会も増え、その存在感に惹かれている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ購入を検討すると、「電動ファットバイクは合法なのか？」「免許不要で本当に大丈夫？」といった、疑問が浮かびます。

実際のところ、違法の電動ファットバイクの特徴や、電動ファットバイクと電動自転車の違いを正しく理解しないまま購入すると、意図せず法律違反を犯してしまう可能性があります。

例えば、スロットル機能付きを運転する際の注意点を知らなければ、厳しい取り締まりの対象になるかもしれません。

この記事では、電動ファットバイクは公道で走行可能なのか、そして安全なファットバイクは型式認定を選んだ方が良い理由について、専門的な観点から分かりやすく解説します。

さらに、電動ファットバイクは街乗りや通勤通学に最適なのか、そのメリットデメリットを掘り下げ、具体的な電動ファットバイクのおすすめ商品までご紹介します。

【記事のポイント】
1.電動ファットバイクの、合法・違法の明確な基準
2.免許やナンバープレート、ヘルメットの必要性の有無
3.安全で後悔しないモデルを選ぶための、具体的なポイント
4.法律を守って、ファットバイクを楽しむための注意点

電動ファットバイクが違法になる法的基準

• 電動ファットバイクは合法なのか？
• 違法の電動ファットバイクの特徴とは
• 電動ファットバイクと電動自転車の違い
• 電動ファットバイクは免許不要で大丈夫？
• 電動ファットバイクは公道で走行可能？

電動ファットバイクは合法なのか？

電動ファットバイクの利用を考えたとき、多くの方が最初に抱く疑問は「そもそも合法なのか…」という点でしょう。この問いに対する答えは、定められた条件を満たしていれば合法となります。

日本の法律、具体的には道路交通法において、電動アシスト自転車は「駆動補助機付自転車」として明確に定義されています。この基準を満たしている限り、電動ファットバイクも自転車の一種として扱われ、特別な許可なく公道を走行することが可能です。

その基準の核となるのが、アシストの仕組みと上限速度です。

まず、電動アシストはあくまでペダルを漕ぐ力を補助するものでなければなりません。そして、アシスト力が働くのは時速24kmまでと定められており、この速度を超えるとアシスト機能は自動的に停止する必要があります。

さらに、アシスト比率、つまりペダルを漕ぐ力とモーターの補助力の比率にも上限が設けられています。

したがって、これらの基準を全てクリアした電動ファットバイクであれば、合法的な乗り物として安心して利用できます。

違法の電動ファットバイクの特徴とは

合法なモデルがある一方で、残念ながら市場には違法と見なされる電動ファットバイクも、存在します。知らずに利用してしまうと、交通違反として取り締まりの対象となるため、その特徴を正確に把握しておくことが大切です。

違法とされる、電動ファットバイクの最も顕著な特徴は、日本の法規制を逸脱した過剰なアシスト性能です。具体的には、以下の3つのケースが典型例として挙げられます。

1.時速24kmを超えてもアシストが継続する

第一に、時速24kmを超えてもアシストが継続するものです。これは「リミッター解除」と呼ばれる違法改造に該当し、速度超過による事故のリスクを著しく高めます。

2.アシスト比率が法定の上限を超えている

第二に、アシスト比率が法定の上限（人の力1に対してモーターの補助力2）を超えているケースです。「ペダルに軽く足を乗せただけで急発進する」ようなモデルは、この基準に違反している可能性が高いと考えられます。

3.スロットルを回すだけで自走できる

そして第三に、ペダルを漕がなくても、スロットル（手元のアクセル）を回すだけでモーターが作動し、自走できてしまうモデルです。これは電動アシストではなく、完全に「原動機付自転車の機能」であり、自転車として公道を走ることは認められていません。

これらの特徴を持つ車両は、特に海外からの輸入品やインターネット通販で、安価に販売されているものに見受けられます。

電動ファットバイクと電動自転車の違い

電動ファットバイクと一括りにされがちですが、法律上は「電動アシスト自転車」「電動自転車（ペダル付き電動バイク）」という、全く異なる2つの乗り物に分類されます。この違いを理解することが、合法・違法を見分ける上で鍵となります。

項目	電動アシスト自転車	電動自転車（モペット）
動力の仕組み	ペダル＋モーター補助	モーターのみで走行可
法的扱い	自転車	原動機付自転車
運転免許	不要	必要（原付など）
ヘルメット	努力義務	着用義務
ナンバープレート	不要	必要
自賠責保険	不要（推奨あり）	加入義務

電動アシスト自転車

一般的に、私たちが電動ファットバイクとしてイメージし、自転車として利用できるのはこちらのタイプです。前述の通り、動力はあくまでペダルを漕ぐことによる人力であり、モーターはその力を補助する役割に徹します。

アシスト速度や比率が法律の範囲内に収められており、免許やヘルメットの着用義務はありません。

電動自転車（ペダル付き電動バイク）

こちらは「モペット」「フル電動自転車」とも呼ばれ、ペダルが付いていてもスロットル操作だけで自走できる車両を指します。モーターの力だけで進めるため、法律上は原動機付自転車に分類されます。

そのため、運転には原付免許が必要であり、ナンバープレートの取得、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用が全て義務付けられています。

このように、見た目が似ていても法的な扱いは全く異なります。

電動ファットバイクは免許不要で大丈夫？

電動ファットバイクに乗る際に運転免許が必要かどうかは、その車両がどの区分に該当するかによって決まります。一概に不要、あるいは必要と言えるものではないため、正しい知識を持つことが不可欠です。

まず、道路交通法の基準を満たした電動アシスト自転車に分類される電動ファットバイクであれば、運転免許は一切必要ありません。これは、あくまでも自転車としての扱いであり、運転者の年齢制限などもなく、誰でも気軽に利用することが可能です。

一方で、問題となるのは「電動自転車（ペダル付き電動バイク）」に、該当するモデルです。

スロットルを回すだけで自走できる車両や、モーターの出力が基準値（定格出力600W）を超える車両は、原動機付自転車として扱われます。この場合、運転するにはその車両の出力に応じた免許が必須となります。

具体的には、モーターの定格出力が600W以下の場合は原付一種扱いとなり、原付免許または普通自動車免許などが必要です。もし600Wを超え1000W以下の場合は原付二種扱いとなり、小型限定普通二輪免許以上が求められます。

これらの車両を無免許で運転した場合、厳しい罰則が科せられる「無免許運転」という重大な交通違反になります。

電動ファットバイクは公道で走行可能？

電動ファットバイクで公道を走行することは可能ですが、そのためには車両の区分に応じた法的な要件を全て満たす必要があります。要件を満たさずに走行した場合、整備不良やその他の交通違反で検挙される可能性があります。

電動アシスト自転車の場合

法規制に準拠した電動アシスト自転車であれば、特別な手続きなしに購入後すぐ公道を走行できます。一般的な自転車と同じ扱いであるため、走行場所も自転車のルールに従います。

原則として車道の左側を通行し、標識などで許可されている場合を除き、歩道の走行はできません。特にファットバイクは車体が大きいため、歩行者との接触を避ける上でも車道走行のルール遵守が求められます。

電動自転車（ペダル付き電動バイク）の場合

スロットル付きなど、原付扱いとなる電動自転車で公道を走るには、いくつかの手続きと装備が必須です。

1.ナンバープレートの取得

お住まいの市区町村役場で、軽自動車税申告書を提出し、ナンバープレートの交付を受ける必要があります。

2.自賠責保険への加入

自動車損害賠償責任保険（共済）への加入が法律で義務付けられています。コンビニや郵便局、オンラインでも手続きが可能です。

3.保安部品の装着

安全に走行するために、前照灯（ヘッドライト）、尾灯（テールランプ）、制動灯（ブレーキランプ）、方向指示器（ウインカー）、後写鏡（ミラー）、警音器（ホーン）といった保安部品が基準通りに装備され、正常に作動しなければなりません。

電動ファットバイクの違法を避ける安全な選び方

• ファットバイクは型式認定を選んだ方が良い理由
• 電動ファットバイクは街乗りや通勤通学に最適？
• スロットル機能付きを運転する際の注意点
• 電動ファットバイクのおすすめ商品
• 電動ファットバイク違法に関するよくある質問

ファットバイクは型式認定を選んだ方が良い理由

電動ファットバイクを安全かつ合法的に楽しむために、購入時に確認すべき非常に有効な指標が「型式認定」の有無です。型式認定とは、その製品が日本の道路交通法に定められた基準に適合していることを、国家公安委員会が公的に認めた証です。

この認定を受けたモデルを選ぶことには、主に3つの大きなメリットがあります。

合法性の担保

第一に、「合法性の担保」です。型式認定を取得しているということは、アシスト比率や速度制限といった法律の基準を全てクリアしていることを意味します。これにより、利用者は「このモデルは違法ではないか」という不安を抱くことなく、安心して公道を走行することが可能です。

安全性の確保

第二に、「安全性の確保」です。認定プロセスでは、ブレーキ性能やフレーム強度といった安全性に関わる厳しい試験も行われます。そのため、認定モデルは単に合法であるだけでなく、一定水準以上の品質と安全性が保証されていると考えられます。

購入後のサポート体制

そして第三に、「購入後のサポート体制」です。多くの自転車専門店では、修理やメンテナンスの際に安全性を保証できないという理由から、型式認定を受けていない海外製モデルなどの受け入れを断るケースが少なくありません。

認定モデルであれば、全国の自転車店で修理や部品交換といったアフターサービスを受けやすく、万が一の故障時にも「修理難民」になるリスクを大幅に軽減できます。

型式認定を取得していないモデルが直ちに違法というわけではありませんが、利用者が負うリスクは格段に高まります。

電動ファットバイクは街乗りや通勤通学に最適？

そのユニークな見た目と性能から、電動ファットバイクを日常の移動手段として活用したいと考える方も多いでしょう。ここでは、街乗りや通勤通学で利用する際のメリットと、考慮すべきデメリットの両面からその適性を探ります。

メリット

電動ファットバイクの最大の利点は、その走行安定性と快適性です。

極太のタイヤは空気量が多く、路面からの細かな振動を吸収してくれるため、乗り心地は非常にマイルドです。歩道の切り下げ部分や多少の段差であれば、ほとんど衝撃を感じることなくスムーズに通過できます。

また、電動アシスト機能が加わることで、車体の重さを感じさせない軽快な走り出しと、急な坂道も楽に登れるパワフルな登坂性能を発揮します。信号の多い市街地でのストップアンドゴーや、通勤ルートにアップダウンがある場合でも、体力的な負担を大幅に軽減してくれるでしょう。

何より、その個性的なデザインは日々の移動を楽しいものに変えてくれます。

デメリットと注意点

一方で、いくつかの注意点も存在します。

まず、その大きさと重量です。一般的な自転車に比べて車体は重く、幅も広いため、駐輪場の確保には工夫が必要です。特に、一般的な自転車用ラックにはタイヤが収まらないケースがほとんどで、駐輪場所に困る可能性があります。

また、自宅での保管にも相応のスペースが求められます。アパートやマンションの駐輪場、あるいは室内保管を考えている場合は、事前にサイズをしっかり確認しておくことが大切です。

さらに、万が一パンクなどのトラブルが発生した場合、特殊なタイヤサイズのため、一般的な自転車店では修理用のチューブやタイヤの在庫がなく、対応を断られることも考えられます。購入前に、修理やメンテナンスに対応してくれる店舗が近くにあるかを確認しておくと、より安心です。

スロットル機能付きを運転する際の注意点

手元のアクセル操作だけで進むスロットル機能は、一見すると非常に便利に思えるかもしれません。しかし、この機能を持つ電動ファットバイクを日本国内で運転するには、多くの法的義務と潜在的なリスクが伴うため、最大限の注意が必要です。

まず理解すべき最も重要な点は、前述の通り、スロットル機能が搭載された車両は、ペダルの有無にかかわらず「原動機付自転車」に分類されるということです。これを自転車の延長線上にあると考えるのは、非常に危険な誤解と言えます。

運転する際には、必ず以下の条件を全て満たさなければなりません。

1.運転免許の携帯

車両の排気量区分に応じた運転免許を取得し、運転時には必ず携帯する義務があります。

2,ヘルメットの着用

自転車の努力義務とは異なり、乗車用ヘルメットの着用は法律で定められた絶対的な義務です。

3.ナンバープレートと自賠責保険

公道を走るためには、ナンバープレートを正しく表示し、自賠責保険に加入していることが必須条件です。

4.保安部品の具備

ウインカーやミラー、ブレーキランプなどが正しく装備・作動しない場合、整備不良車両として取り締まりの対象になります。

スロットル付きの車両は、その手軽さから安易に購入されがちですが、法的な責任はバイクと全く同じです。

これらの義務を怠った場合、無免許運転や無保険運行といった重い罪に問われるだけでなく、万が一事故を起こした際には、適切な保険が適用されず、莫大な賠償責任を負うリスクも考えられます。

電動ファットバイクのおすすめ商品

市場には多種多様な電動ファットバイクがありますが、ここではデータベースに基づき、特に注目度の高い合法モデルを2つご紹介します。ご自身の用途や免許の有無に合わせて、最適な一台を見つける参考にしてください。

電動アシスト自転車のおすすめ：COSWHEEL「MIRAI COMFORT」

とにかくパワフルなアシストが欲しいという方に最適なのが、COSWHEELの「MIRAI COMFORT」です。このモデルは、日本の電動アシスト自転車の基準に適合しながらも、48V 500Wという強力なモーターを搭載しており、他を圧倒するほどの力強いアシスト力を体感できます。

急な坂道でも座ったまま楽々と登れるその性能は、通勤やレジャーでの行動範囲を大きく広げてくれるでしょう。また、前後輪にサスペンションを装備し、ブレーキには制動力の高い油圧式ディスクブレーキを採用するなど、足回りの装備も充実しています。アシスト性能を最優先に考えているのであれば、有力な選択肢の一つです。

電動自転車（原付）のおすすめ：COSWHEEL「MIRAI S」

こちらは、ペダルを漕ぐ必要のないスロットル付きの電動バイク（原付一種）モデル、COSWHEEL「MIRAI S」です。ガソリンを使わず、家庭用コンセントで充電したバッテリーで走行します。

500Wのモーターを搭載し、最高速度は約45km/hに達します。原動機付自転車のため、公道走行には原付免許、ナンバープレートの取得、自賠責保険の加入、ヘルメットの着用が必須となりますが、自転車では得られない力強くスムーズな加速を手軽に楽しめるのが魅力です。

電動ファットバイク違法に関するよくある質問

ここでは、電動ファットバイクの合法性や利用方法について、多くの方が抱きがちな疑問点にお答えします。

サイクルベースあさひで売っていますか？

大手自転車チェーンのサイクルベースあさひでは、過去に「BRONX BUGGY（ブロンクスバギー）」という電動ファットバイクを取り扱っていた時期がありました。しかし、データベースの情報によると、現在は取り扱いを停止しているようです。最新の在庫状況については、直接店舗に問い合わせてみることをお勧めします。

コストコで売っているモデルはどうですか？

会員制倉庫型店舗のコストコでは、「ROCKA FLAME」というブランドの電動アシストファットバイクが販売されていることがあります。ROCKA FLAMEは日本の基準に適合した型式認定取得モデルを製造しているメーカーであり、安心して購入できる選択肢の一つと言えます。ただし、コストコの取扱商品は時期によって変動するため、こちらも訪れる前に在庫の有無を確認すると良いでしょう。

免許は結局、必要ですか？

前述の通り、これは車両の種類によって明確に異なります。

電動アシスト自転車: 日本の法律基準を満たした、ペダルを漕ぐ力を補助するタイプの車両であれば、運転免許は一切不要です。
電動自転車（ペダル付き電動バイク）: スロットルを回すだけで自走できるタイプの車両は、原付扱いとなるため、原付免許や普通自動車免許などの運転免許が必ず必要になります。

購入前には、そのモデルがどちらのタイプに該当するのかを、販売店の仕様書などで確実に確認することが最も大切です。

【総括】電動ファットバイクの違法性と合法性ポイント

この記事では、電動ファットバイクの合法性と、安全なモデルの選び方について解説してきました。最後に、重要なポイントを改めてまとめます。

• 電動ファットバイクは、定められた条件を満たせば合法
• 日本の法律では、「電動アシスト自転車」として定義される
• アシスト機能は、時速24kmで停止する必要がある
• 人の力1に対し、アシスト力は最大2まで
• ペダルを漕がずに進むスロットル付きは、原付扱い
• リミッター解除などの改造は、明確な違法行為
• 違法モデルは、警察の取り締まり対象となる
• 原付扱いの場合は、運転免許が必須
• ナンバープレートの取得と、表示義務がある
• 自賠責保険への加入も、法律で定められている
• 乗車時には、ヘルメットの着用が義務付けられる
• 型式認定を受けたモデルは、安全と合法の証
• 購入後の修理やメンテナンスも、考慮して選ぶことが大切
• 街乗りでは、安定性と快適性がメリットになる
• 一方で車体の大きさと重さが、デメリットになる場合もある
• 駐輪スペースは、事前に確認が必要
• 自身の用途と法的要件を理解し、最適な一台を選ぶことが鍵となる

【参考】
>>ファットバイクは危ないって本当？後悔しないための全知識と選び方