BMXに乗り慣れてきて、「そろそろグラインドトリックに挑戦したい!」と考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのが、ペグの取り付けではないでしょうか。
しかし、BMXのペグとはそもそもどんな役割があるのか、また、ペグは乗り方のジャンルによって変わるのかという基本的な疑問から、BMXのペグの素材や特徴を知り、自分のスタイルに合ったBMXのペグを選ぶポイントと注意点を、理解するのは簡単ではありません。
この記事では、これからペグを取り付けたいと考えているあなたのために、ジャンル別におすすめのBMXペグをご紹介しつつ、ペグを取り付ける前に重要なチェック事項や、BMXにペグを付ける工具や手順を分かりやすく解説します。
さらに、BMXのペグは簡単に取り外しができるのか、そして取り付け後のペグの適切なメンテナンス方法と交換サインについても、詳しくご紹介します。

この記事を読めば、ペグに関するあらゆる疑問が解消され、自信を持ってBMXライフの新たな一歩を踏み出せるはずです。
【記事のポイント】
1.ペグの役割や種類といった、基本的な知識
2.自分のライディングスタイルに合った、ペグの選び方
3.工具の準備から、取り付けまでの具体的な手順
4.取り付け後のメンテナンスや、交換時期の目安
基本編!BMXのペグ付け方の前に知るべきこと


- BMXのペグとは?基本的な役割を解説
- ペグは乗り方のジャンルによって変わる?
- BMXのペグの素材や特徴を知ろう
- BMXのペグを選ぶポイントと注意点
- ジャンル別におすすめのBMXペグをご紹介
BMXのペグとは?基本的な役割を解説


BMXのペグとは、ホイールのハブ軸に取り付ける金属やプラスチック製の棒状のパーツです。他のスポーツバイクには見られない、BMXならではの象徴的なパーツと言えます。
ペグを取り付ける主な理由は、トリックの幅を大きく広げるためです。
例えば、縁石やレール、手すりといった構造物にペグを引っ掛けて滑る「グラインド」は、BMXのストリートスタイルを代表するトリックの一つです。
また、平らな地面で技を繰り出す「フラットランド」というジャンルでは、ペグの上に立ってバランスを取ったり、手で掴んで車体を操ったりと、ペグがなければ成り立たないトリックが数多く存在します。
このように、ペグはBMXの様々な技を可能にするための重要な足場であり、スライドさせるための接点となるパーツです。



完成車のBMXには最初から付属していることもありますが、後から自分のライディングスタイルに合わせて交換・追加することで、BMXの楽しみ方をさらに深く追求できるようになります。
ペグは乗り方のジャンルによって変わる?


BMXのペグは、ライディングのジャンルによってその使い方や選び方が大きく異なります。主に「ストリート・パーク」「フラットランド」という、2つのフリースタイルジャンルで使用され、スピードを競うレースでは基本的に使用しません。
ストリート・パークでの使い方
ストリートやスケートパークでは、ペグをレールやボックスなどのセクションに掛けて滑る「グラインド」トリックが中心となります。このため、ペグは滑りやすさが重視されます。
通常、グラインドしやすい利き足側の左右どちらかに、2本だけ取り付けるのが一般的です。ダイナミックで格好良い技が多く、バニーホップがある程度できれば挑戦できるため、多くのライダーがペグを取り付けてグラインドの練習に励みます。
フラットランドでの使い方
一方、フラットランドでは、ペグは滑らせるためではなく、ライダーが足を乗せたり手で持ったりするためのものです。ペグの上でバランスを取りながら、まるでダンスのように多彩な技を繰り出します。
したがって、このジャンルではペグは必須装備であり、グリップ力(滑りにくさ)が非常に重要視されます。前後左右のホイールに、4本すべて取り付けるのが基本スタイルです。
このように、ペグはジャンルによって全く異なる役割を担います。



そのため、自分が挑戦したいライディングスタイルに合わせて、適切なペグを選ぶことが上達への第一歩となります。
BMXのペグの素材や特徴を知ろう


BMXのペグ選びにおいて、素材は耐久性や滑りやすさ、重量に直結する重要な要素です。主に金属製とプラスチック製の2種類に大別され、それぞれにメリットデメリットがあります。
素材の種類 | メリット | デメリット | 主な用途 |
---|---|---|---|
スチール | 耐久性高い、安価、音が良い | 重い、滑りにくい、使用制限あり | ストリート、パーク |
クロモリ | 高強度、頑丈 | やや高価、重い | ストリート、パーク |
アルミ | 軽量、錆びにくい | 強度低め、高価 | フラットランド |
プラスチック | 軽量、滑りやすい、施設に優しい | 耐久性低い、摩耗早い | ストリート、パーク |
金属製ペグ(スチール・クロモリ・アルミ)
金属製のペグは、非常に高い耐久性が最大の特長です。素材には主にスチール(鉄)や、より強度を高めたクロモリ、軽量なアルミが使われます。ストリートでのグラインドでは、金属ならではの「カーン」という甲高い音が魅力で、この音のために金属製を選ぶライダーも少なくありません。
ただ、プラスチック製に比べると滑りにくく、重量も重くなる傾向があります。
また、パークのセクションや縁石を傷つけやすいため、施設によっては使用が禁止されている場合もあるので注意が必要です。フラットランドでは、摩耗に強く長く使えるという利点から、グリップ力の高い金属製ペグが好まれることもあります。
プラスチック製ペグ(ナイロン)
プラスチック(ナイロン)製のペグは、軽量で非常に滑りやすいことが利点です。素材が柔らかいため、レールや縁石に食いつきにくく、スムーズなグラインドを可能にします。金属製ペグが禁止されているパークでも使用できることが多いのも嬉しいポイントです。


一方で、耐久性の面では金属製に劣り、グラインドを多用すると削れやすく、定期的な交換が必要になります。
多くのプラスチックペグは、中心に金属の芯(コア)を入れ、その周りをプラスチックのスリーブが覆う構造になっています。



このため、スリーブが摩耗したらスリーブだけを交換できるモデルもあり、経済的と言えます。
BMXのペグを選ぶポイントと注意点


自分のライディングスタイルに最適なペグを見つけるためには、素材以外にもいくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、ペグ選びで失敗しないための重要なチェック項目と、注意点を解説します。
ローレット(表面加工)
ペグ表面の溝やギザギザの加工を、「ローレット」と呼びます。ストリートやパークで滑りを重視する場合は、ローレットのないツルツルした表面のペグが適しています。逆に、フラットランドのようにペグの上に足を乗せる場合は、靴が滑らないようにローレットが深く刻まれた、グリップ力の高いものを選びましょう。
長さと太さ
ペグの長さは、ストリートでは10cm(約4インチ)前後、フラットランドでは11cm(約4.5インチ)前後が一般的です。長いペグはグラインド時にセクションに掛けやすく安定感がありますが、その分重くなり、地面に接触しやすくなるという側面もあります。
太さは、ストリートでは3〜4cm、フラットランドでは3.8cm前後が主流です。太いと足場が安定し、特にフラットランドでは足への負担を軽減できますが、重量は増します。最初は各ジャンルの標準的なサイズを選び、慣れてきたら自分の好みに合わせて調整していくのがおすすめです。
シャフトサイズ(アクスル径)
最も重要な注意点が、自分のBMXのシャフト(アクスル)の太さに対応したペグを選ぶことです。BMXのシャフト径には主に「14mm」「3/8インチ(約10mm)」の2種類があります。ペグの穴のサイズが合わないと、取り付けることができません。



最近のペグの多くは、14mmの穴に3/8インチ用のアダプターが付属しており、両方のサイズに対応できる兼用タイプが主流ですが、購入前には必ず自分のBMXのシャフト径と、購入したいペグの対応サイズを確認してください。
ジャンル別におすすめのBMXペグをご紹介


ここでは、インプットした情報を基に、具体的なブランド名を挙げながら、ストリート・パーク向けとフラットランド向けにおすすめのペグをいくつかご紹介します。これらはあくまで一例であり、自分に合ったペグを見つけるための参考にしてください。
ストリート・パーク向けのおすすめ
ストリートやパークでの使用を考えるなら、滑りやすさと耐久性のバランスが鍵となります。
ODYSSEY(オデッセイ)の「MPEG」は、耐久性の高いクロモリを使用した定番の金属ペグです。すり減りにくいため、ガンガン練習したいライダーに適しています。
また、ECLAT(エクラー)の「VENOM」のように、頑丈なクロモリ製インナーと滑りの良いナイロンスリーブを組み合わせたハイブリッドタイプも人気があります。スリーブを交換できるため、長く使えるのも魅力です。




フラットランド向けのおすすめ
フラットランドでは、軽さとグリップ力、そしてトリックのしやすさが求められます。
ARESBIKES(アーレスバイクス)は、フラットランド専門ブランドとして多様なペグを展開しています。「UMA-AL 38 PEG」のようなアルミ製のペグは、軽量でありながらハイグリップなローレット加工が施されており、初心者から上級者まで幅広く支持されています。


また、AUTUM(オータム)の「AUTUMO-RICH PEGS」のように、日本人プロライダーが開発に関わったモデルは、トリックのやりやすさが考慮されており、信頼性が高いと言えます。



軽量化を徹底したい場合は、プラスチック製のペグを選択するのも一つの手です。
実践編!失敗しないBMXのペグ付け方とメンテナンス


- ペグを取り付ける前に重要なチェック事項
- BMXにペグを付ける工具や手順を解説
- BMXのペグは簡単に取り外しができる?
- ペグの適切なメンテナンス方法と交換サイン
- BMXのペグの付け方でよくある質問
ペグを取り付ける前に重要なチェック事項


ペグの取り付け作業を始める前に、必ず確認しておくべき点が2つあります。これを怠ると、せっかく購入したペグが無駄になったり、作業がスムーズに進まなかったりする可能性があるため、しっかりと準備をしましょう。
ハブ軸のサイズ(アクスル径)の確認
一つ目は、前述の通り、自分のBMXの「ハブ軸のサイズ(アクスル径)の確認」です。ストリートモデルの多くは前後共に14mmですが、モデルや年式によってはフロントが3/8インチ(約10mm)であったり、前後共に3/8インチであったりします。
自分のBMXの規格が分からない場合は、購入したショップに問い合わせるか、メーカーの公式サイトでスペックを確認するのが確実です。
必要な工具が揃っているかの確認
二つ目は、「必要な工具が揃っているかの確認」です。ペグの脱着には、ホイールナットを回すための工具が必須となります。BMXのホイールナットは、一般的に15mm、17mm、19mmのいずれかのサイズが使われています。



適切なサイズのソケットを用意しないと、ナットを傷つけてしまう原因になります。
BMXにペグを付ける工具や手順を解説


準備が整ったら、いよいよペグの取り付けです。ここでは、必要な工具と具体的な取り付け手順をフロントとリアに分けて解説します。慣れてしまえば、難しい作業ではありません。
必要な工具
ペグの脱着には、以下の工具を用意するのが一般的です。
1.ラチェットハンドル(またはソケットレンチ)
ナットを回すための、主要な工具です。
2.ディープソケット
通常のソケットではシャフトの先端が当たってしまい、ナットに届きません。必ず深さのあるディープソケットを用意してください。サイズは自分のBMXのナットサイズ(15mm、17mm、19mmなど)に合わせます。
3.エクステンションバー
ペグを取り付けるとナットが奥まった位置になるため、ラチェットハンドルを延長して作業しやすくするために使用します。
これらの工具がセットになったBMX専用ツールも販売されており、持ち運びにも便利です。


ペグの取り付け手順
まずはBMXを安定した場所に置き、ディープソケットを使ってホイールナットを反時計回り(左回り)に回して緩め、完全に取り外します。
ナットが外れたら、ペグの穴をハブのシャフトに合わせ、奥までしっかりと差し込みます。このとき、ナットの内側にあったワッシャーをペグとフレーム(またはフォーク)の間に入れるのを忘れないようにしましょう。
ペグの上からホイールナットを締めます。ナットが奥にあるため、指で回せるところまで回してから工具を使うと、ねじ山を傷つけるリスクを減らせます。時計回り(右回り)に、しっかりと力を込めて締め付けます。
特にリアホイールは走行中に大きな力がかかるため、緩みがないように念入りに確認してください。
リアペグを取り付ける際は、タイヤがフレームの左右中央にくるように位置を調整しながらナットを締めることが大切です。センターが出ていないと、タイヤがフレームに干渉したり、走行が不安定になったりする原因となります。



手順通りに行えば、むずかしいことはありません。
BMXのペグは簡単に取り外しができる?


はい、BMXのペグは取り付けるときと逆の手順で簡単に取り外すことが可能です。ペグが摩耗して交換する場合や、ライディングスタイルに合わせて付け替える際に、自分で脱着できると非常に便利です。
取り外しの手順は、以下の通りです。
取り付け時と同様に、ラチェットハンドルとディープソケットを使い、ホイールナットを反時計回り(左回り)に回して緩めます。このとき、締める方向と間違えないように注意してください。
ナットを完全に取り外したら、ペグを手で持ってシャフトから引き抜きます。
ペグを外した状態で、再度ホイールナットをワッシャーと共にはめ込み、時計回りにしっかりと締め付けたら作業完了です。
作業自体は単純ですが、ナットやペグを紛失しないように注意しましょう。



また、ナットを締める際は、ねじ山を傷めないように、最初は手で回してから工具を使うのが基本です。
ペグの適切なメンテナンス方法と交換サイン


ペグは消耗品であり、安全にBMXを楽しむためには定期的なメンテナンスと適切なタイミングでの交換が欠かせません。ペグ本体に特別なメンテナンスは必要ありませんが、注意すべき点がいくつかあります。
重要なメンテナンスとは…
最も重要なメンテナンスは、ナットの緩みチェックです。ライディングの振動でナットは少しずつ緩むことがあります。走行中にホイールが外れると大変危険なため、乗る前には必ずペグがガタつかないかを手で確認し、少しでも緩みを感じたらすぐに増し締めする習慣をつけましょう。
交換サイン
ペグの交換時期を見極めるサインは、主に見た目の変化で判断できます。
1.極端な摩耗
グラインドによってペグが削れ、著しく短くなったり、一部が薄くなったりした場合。安定性が損なわれるだけでなく、金属疲労で折れる危険性も高まります。
2.ひび割れや変形
強い衝撃によってペグにひび割れ(クラック)が入ったり、曲がったりした場合。見た目には小さなひびでも、走行中に突然破損する可能性があるため、発見したらすぐに交換が必要です。
プラスチックペグの場合はスリーブの削れ具合を確認し、金属のコアが見えてきたら交換のタイミングです。



日頃から愛車の状態をチェックすることが、安全なライディングに繋がります。
BMXのペグの付け方でよくある質問


ペグの取り付けや使い方に関して、初心者の方が抱きやすい疑問についてお答えします。
- ペグは前後左右で同じものを付けたほうが良いですか?
-
必ずしも全て同じペグでそろえる必要はありません。多くのライダーは、ライディングスタイルに合わせて前後や左右で異なる種類のペグを組み合わせて使用しています。
例えば、フラットランドでリアのトリックを多用するライダーが、後ろ側のペグは耐久性とグリップ力の高いアルミ製にし、あまり乗らない前側のペグは軽量なプラスチック製にするといったカスタムは一般的です。
ペグは比較的交換しやすいパーツなので、色々と試してみて自分に最適なセッティングを見つけるのもBMXの楽しみの一つです。
- ストリートやパークでペグを4本付けても良いですか?
-
問題ありません。ストリートやパークでは左右どちらか2本だけを付けるのが主流ですが、好みや練習スタイルによって4本付けても大丈夫です。
BMXのスタンスには右足が前の「レギュラー」と左足が前の「グーフィー」があり、多くのライダーは得意な方向を集中して練習します。しかし、自分の得意な方向がまだ分からない初心者の方や、両方の方向(スイッチスタンス)でトリックを練習したい方は、最初から4本付けておくのも良いでしょう。
練習を重ねるうちに主に使う側が決まってきたら、使わない方を外して軽量化するという選択もできます。



よくあるQ&Aも、参考にしてください。
【総括】正しいBMXのペグ付け方のポイント
この記事では、BMXのペグの付け方について、基本的な知識から選び方、具体的な手順、メンテナンスまでを詳しく解説しました。最後に、今回の内容の重要なポイントをまとめます。
- ペグはトリックの幅を広げるための、重要なパーツ
- 主な役割は、グラインドでの滑走やトリックの足場
- ストリート・パークでは滑りやすさ、フラットランドではグリップ力が重要
- ペグの素材には耐久性の高い金属製と、滑りやすいプラスチック製がある
- 自分のBMXのシャフト径(14mmか3/8インチ)の、確認が必須
- 取り付けには、ディープソケットとエクステンションバーが役立つ
- ナットを外してペグを差し込み、再度ナットを締めるのが基本手順
- リアペグ取り付け時は、タイヤのセンター出しに注意する
- 取り外しは、取り付けと逆の手順で簡単に行える
- 走行前には必ず、ペグのナットの緩みを確認する
- ペグの極端な摩耗やひび割れは、交換のサイン
- 前後左右で異なる種類のペグを、組み合わせることも可能
- 練習スタイルに合わせて、4本付けることも問題ない
- ジャンルや好みに合わせて、ペグを選ぶことが上達の鍵
- 自信がない場合は無理せず、プロショップに依頼する