愛車の自転車を、自分好みのカラーに再塗装したいと考えたとき、多くの人が最初に取り組むのが塗装剥がしです。
しかし、綺麗に自転車の塗装剥がしをする方法とはどのようなものか、DIYや業者依頼などで自転車の塗装剥がしにかかる料金はどのくらいか、自転車のフレーム塗装の費用相場なども、気になるところでしょう。
この記事では、そうした数々の疑問や、塗装剥がしをする際の注意点を専門的な視点から網羅的に解説します。
さらに、再塗装をするなら揃えておきたい道具と手順、自転車の塗装剥がしにおすすめのグラインダーやおすすめのヤスリの選び方、材質による違いとしてクロモリフレームの塗装を剥がすコツ、市販品のホルツ塗装剥がし液の評判など、具体的な情報まで網羅。
知りたいことは多岐にわたりますが、安易に作業を始めると失敗して後悔する可能性も、否定できません。

正しい知識を身につけ、あなたの自転車再塗装プロジェクトを成功に導くための、一助となれば幸いです。
【記事のポイント】
1.自転車の塗装剥がしに、必要な費用や料金の相場
2.剥離剤や工具を使った、具体的な塗装の剥がし方
3.作業を安全に進めるための、重要な注意点
4.材質や目的に合わせた、最適な道具の選び方
始める前に知りたい自転車塗装剥がしの基礎知識


- 綺麗に自転車の塗装剥がしをする方法とは
- 自転車の塗装剥がしにかかる料金はどのくらい?
- 自転車のフレーム塗装の費用相場
- 塗装剥がしをする際の注意点
- ホルツ塗装剥がしの液の評判って?
綺麗に自転車の塗装剥がしをする方法とは


自転車の塗装を剥がす方法は一つではなく、それぞれにメリットデメリットが存在します。主に4つの方法があり、フレームの材質や予算、作業環境に応じて最適な手段を選択することが仕上がりを左右する鍵となります。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
剥離剤 | 複雑形状も効率的 比較的安価 | 薬品で危険 カーボン不可 換気が必要 |
手作業 | 初期投資が少ない フレームを傷つけにくい | 時間と労力がかかる 消耗品コスト |
電動工具 | 作業時間が速い | フレームを傷つける恐れ 騒音・粉塵が出る |
サンドブラスト | 仕上がりが綺麗 足付けも同時に可能 | 専門設備が必要 費用が高額 |
剥離剤を使用する方法
最も一般的で、個人でも比較的取り組みやすいのが化学的な剥離剤を使う方法です。ジェル状や液体状の薬剤を塗装面に塗布し、塗膜を化学反応で浮き上がらせてからスクレーパーやブラシで除去します。特に複雑な形状の部分でも薬剤が浸透しやすいため、効率的に作業を進められるのが大きなメリットです。
ただし、非常に強力な薬品であるため、取り扱いには細心の注意が求められます。皮膚に付着すると炎症を起こす危険性があり、保護メガネや耐薬品性の手袋、長袖長ズボンの着用は必須です。また、カーボン素材には使用できず、アルミやクロモリといった金属フレームに限定される点も覚えておく必要があります。
手作業で研磨する方法
「サンドペーパー(紙やすり)」「研磨スポンジ(布やすり)」を使って、物理的に塗膜を削り落とす、最も原始的かつ確実な方法です。特別な機材を必要とせず、初期投資を抑えられるのが利点と言えます。また、削りすぎないように力加減を調整しやすく、フレームへのダメージを最小限に抑えながら作業できる点も魅力です。
一方で、フレーム全体の塗装を全て手作業で剥がすのは、膨大な時間と労力を要します。特に自転車の塗装は強固なものが多く、目詰まりしたサンドペーパーを頻繁に交換する必要があるため、消耗品のコストもかさみます。剥離剤で大まかに剥がした後の仕上げや、部分的な補修に適していると考えられます。
電動工具で研磨する方法
ディスクグラインダーやサンダーといった電動工具に、ワイヤーブラシや研磨ディスクを取り付けて塗装を剥がす方法です。手作業に比べて圧倒的に早く作業が完了するのが最大のメリットであり、時間と労力を大幅に削減できます。
しかし、パワーが強力な分、扱いには技術と慣れが必要です。少しでも油断するとフレーム本体を削りすぎてしまい、修復不可能なダメージを与えてしまうリスクが伴います。特に肉薄なアルミフレームなどでは注意が求められます。騒音や粉塵も多く発生するため、作業環境が限られる点もデメリットです。
サンドブラストを利用する方法
コンプレッサーで圧縮した空気に砂やガラスビーズなどの研磨材を混ぜ、高圧で吹き付けて塗装を剥がす方法です。入り組んだ部分や細かな凹凸の塗料も綺麗に除去でき、仕上がりの均一性は他の方法を圧倒します。塗装の密着性を高める「足付け」も同時に行えるため、再塗装の下地処理としては理想的です。
この方法の最大のハードルは、専用の設備が必要な点です。個人で全ての機材を揃えるのは現実的ではなく、多くは専門業者へ依頼することになります。



そのため、他の方法に比べて費用は高額になる傾向があります。
自転車の塗装剥がしにかかる料金はどのくらい?


自転車の塗装剥がしにかかる料金は、自分で行うか、専門業者に依頼するかで大きく異なります。それぞれのケースでの費用の目安を把握しておくことが大切です。
自分で作業する場合の費用
自分で塗装剥がしを行う場合、主な出費は道具や消耗品の購入費用です。剥離剤を使用する方法が一般的で、その場合の費用内訳は以下のようになります。
- 塗装剥離剤: 1,500円~4,000円程度(容量や強力さによる)
- 保護具(耐薬品性手袋、保護メガネ、マスク): 1,000円~3,000円程度
- 道具類(ハケ、スクレーパー、ワイヤーブラシ): 1,000円~2,000円程度
- 仕上げ用サンドペーパー: 500円~1,000円程度
- その他(養生シート、洗浄用洗剤など): 500円~1,000円程度
合計すると、おおよそ4,500円〜11,000円程度が初期費用の目安と考えられます。グラインダーなどの電動工具を購入する場合は、さらに5,000円〜10,000円程度の追加費用を見込む必要があります。時間と労力はかかりますが、業者に依頼するよりも費用を大幅に抑えられるのが最大のメリットです。
専門業者に依頼する場合の費用
専門業者に塗装剥がしを依頼する場合、作業の手間やリスクから解放されるメリットがあります。料金は業者や剥離方法によって変動しますが、一般的な相場としては11,000円〜20,000円程度が目安です。
これはあくまで剥離作業のみの料金であり、多くの場合は再塗装とセットで依頼することになります。剥離方法としてサンドブラストを指定した場合や、特殊なフレームの場合は追加料金が発生することもあります。



料金だけでなく、過去の実績や評判、納期などを総合的に比較検討して、信頼できる業者を選ぶことが求められます。
自転車のフレーム塗装の費用相場


塗装剥がしを経て、次に行う再塗装の費用相場も把握しておくと、プロジェクト全体の予算が立てやすくなります。プロに依頼した場合の塗装費用は、デザインの複雑さや色の数によって大きく変動するのが特徴です。
作業内容 | 費用相場の目安(税抜) | 備考 |
---|---|---|
剥離作業のみ | 11,000円~20,000円 | サンドブラストなどは追加料金の場合あり |
単色塗装 | 30,000円~50,000円 | 剥離・下地処理を含む場合が多い |
複数色塗装 | 50,000円~ | 色数やデザインにより変動 |
ロゴ再現 | 5,000円~(1箇所) | データ作成費などが含まれる |
フレーム分解・組立工賃 | 20,000円~30,000円 | 塗装とは別に自転車店などで発生 |
基本的な単色塗装
最もシンプルな単色での全塗装の場合、費用相場は30,000円〜50,000円程度です。これには通常、塗装剥がしと下地処理の料金が含まれています。メタリックカラーやパールカラーなど、特殊な塗料を選択すると追加料金がかかる場合があります。
多くの塗装業者は、フレームとフロントフォークをセットで受け付けています。見積もりを取る際には、どのパーツまでが料金に含まれているかを確認することが大切です。
複数色やデザイン塗装
複数の色を使い分けたり、ラインを入れたりするデザイン塗装になると、費用は上がります。マスキング作業の手間が増えるためで、1色追加するごとに5,000円〜10,000円程度が加算されるのが一般的です。凝ったデザインの場合、総額で70,000円〜100,000円以上になることも、珍しくありません。
メーカーロゴの再現
元のメーカーロゴを再塗装で再現したい場合、データ作成やカッティングシート製作のための追加費用が発生します。ロゴの複雑さにもよりますが、1箇所あたり5,000円〜15,000円程度が目安です。全ての業者が対応できるわけではないため、事前にロゴ再現の可否と料金を確認しておく必要があります。
これらの費用に加えて、自転車の分解・組み立てを自転車店に依頼する場合は、別途工賃がかかります。



再塗装は、トータルでかなりの費用がかかることを理解した上で、計画を進めることが重要です。
塗装剥がしをする際の注意点


自転車の塗装剥がしは、美しい仕上がりと安全を確保するために、いくつかの重要な注意点を守る必要があります。作業を始める前に、これらのポイントを必ず確認してください。
安全対策を徹底する
剥離剤は強力な化学薬品であり、皮膚に付着すると火傷のような激しい痛みを引き起こし、炎症を起こす恐れがあります。作業時は必ず、長袖・長ズボンを着用し、耐薬品性の保護手袋、顔全体を覆う保護メガネ(またはゴーグル)を装着してください。
また、剥離剤の多くは揮発性が高く、強い刺激臭を放ちます。有機溶剤用の防毒マスクを着用し、必ず屋外の風通しの良い場所で作業を行いましょう。室内での作業は、中毒症状を引き起こす可能性があるため絶対に避けてください。
研磨作業を行う際も、塗料の粉塵や金属片が飛散します。これらを吸い込むと健康を害する恐れがあるため、防塵マスクや保護メガネの着用が不可欠です。
フレームの材質を確認する
前述の通り、強力な剥離剤はカーボン素材を侵し、強度を低下させてしまう危険性があります。ご自身の自転車のフレームやフロントフォークがどの素材でできているかを、作業前に必ず確認してください。アルミやクロモリ、チタンなどの金属フレームには剥離剤が使用できますが、カーボンパーツには絶対に使用してはいけません。
カーボンパーツの塗装を剥がす場合は、剥離剤を使わずにサンドペーパーで慎重に手作業で削り落とす必要があります。どこまで削って良いか判断が難しいため、細心の注意が求められます。
剥離剤や油分を完全に除去する
剥離作業が終わった後は、フレームに残った剥離剤の成分や、作業中についた手の油分(皮脂)を完全に洗い流すことが非常に大切です。これらの成分が残っていると、新しい塗料を弾いてしまい、塗装の密着不良や「ハジキ」と呼ばれるクレーター状の欠陥の原因となります。
剥離剤を使用した後は、中性洗剤とブラシを使ってフレーム全体を念入りに洗浄し、水でよくすすいでください。洗浄後は、素手でフレームに触れないように注意し、糸くずの出ない綺麗な布で水分を拭き取るか、自然乾燥させます。



塗装直前には、シリコンオフなどの脱脂剤で最終的な油分除去を行うのが理想的です。
ホルツ塗装剥がしの液の評判って?


市販されている塗装剥離剤の中でも、特に知名度が高いのがHolts(ホルツ)の製品です。自動車補修用品として広く流通しており、ホームセンターなどで手軽に入手できます。ここでは、データベースにあった情報や一般的な評判を基に、その特徴を客観的にまとめます。


効果と性能についての評判
多くのレビューで共通しているのは、その「強力さ」です。ホルツの塗装はがし液は、一般的なウレタン塗装などに対して高い剥離性能を持つとされています。レビューによれば、塗布してから数分で塗膜がシワシワに浮き上がり、スクレーパーで容易に剥がせるようになるという声が多く見られます。
一方で、自転車の焼き付け塗装のように非常に強固な塗膜に対しては、一度の塗布では完全に剥がれない場合もあるようです。その際は、時間をおいて重ね塗りをするか、ある程度剥がした後にワイヤーブラシやサンドペーパーを併用する必要があるとの情報もあります。
製品には「業者用」といった注意書きがあるものもあり、その強力さゆえに、補修箇所以外の健全な塗装まで剥がしてしまう可能性がある点も、指摘されています。
使用上の注意点に関する評判
性能の高さと引き換えに、取り扱いには細心の注意が必要である点も、多くの使用者が言及しています。
特に、皮膚に付着した際の刺激は強烈で、「熱いような冷たいような違和感がある」といった声が多数あります。ニトリルやビニール製の使い捨て手袋では浸透してしまうこともあるため、厚手の耐薬品性手袋の着用が推奨されます。
また、臭いも非常に強いとの評判です。揮発した溶剤を吸い込むと、頭痛や吐き気を催す可能性があるため、屋外での作業と防毒マスクの着用は必須と考えるべきでしょう。



これらの情報から、ホルツの塗装剥がし液は、正しい安全対策を講じれば非常に有効なツールですが、その強力さと危険性を十分に理解した上で使用する必要がある製品と言えます。
実践的な自転車塗装剥がしの手順と道具選び


- 再塗装をするなら揃えておきたい道具と手順
- クロモリフレームの塗装を剥がすコツ
- 自転車の塗装剥がしにおすすめのグラインダー
- 自転車の塗装剥がしにおすすめのヤスリ
- 自転車の塗装剥がしでよくある質問
再塗装をするなら揃えておきたい道具と手順


自転車の塗装剥がしから再塗装までを自分で行う場合、計画的な準備が成功の鍵となります。ここでは、一連の作業に必要な道具と、標準的な作業手順を解説します。
揃えておきたい道具リスト
まず、作業を始める前に以下の道具を揃えておくと、スムーズに進行できます。
1.分解用工具
自転車をフレーム単体の状態にするための各種レンチやドライバー、クランク抜きなどの専用工具。
2.保護具
耐薬品性手袋、保護メガネ、有機溶剤用防毒マスク、長袖の作業着。
3.塗装剥がし用品
- 塗装剥離剤(金属フレームの場合)
- ハケ、スクレーパー(金属製とプラスチック製)、ワイヤーブラシ
4.研磨用品
- サンドペーパー(紙やすり):#80~#600程度まで数種類
- 耐水ペーパー:#600~#1000程度
- 研磨スポンジ(ケンマロンなど)
5.洗浄・脱脂用品
- 中性洗剤、ブラシ、ウェス
- シリコンオフ(脱脂剤)
6.塗装用品
- マスキングテープ、養生シート
- プライマーサーフェイサー(プラサフ):下地剤
- 好みの色のカラースプレー(ラッカー系またはウレタン系)
- ウレタンクリアスプレー:仕上げのコーティング剤
基本的な作業手順
一般的な作業の流れは、以下の通りです。各工程を丁寧に行うことが、仕上がりの質を大きく左右します。
まず、自転車の全てのパーツを取り外し、フレームとフォークだけの状態にします。この際、パーツの取り付け順などを写真に撮っておくと、組み立て時に役立ちます。
パーツを外したフレームの汚れや油分を、中性洗剤で綺麗に洗い流し、十分に乾燥させます。
剥離剤や研磨用具を使い、古い塗装を完全に除去します。
塗装を剥がしたフレームの表面を、サンドペーパーで研磨して平滑にします。#80などの粗い番手から始め、徐々に#600などの細かい番手に上げていきます。
研磨で出た削りカスを洗い流し、乾燥させた後、シリコンオフでフレーム全体の油分を完全に取り除きます。これ以降、素手でフレームに触れないようにします。
BBシェルやヘッドチューブ、ネジ穴など、塗装したくない部分をマスキングテープで丁寧に養生します。
プライマーサーフェイサーを薄く、均一に数回に分けて吹き付けます。これは塗料の密着性を高め、防錆効果も兼ねています。
プラサフが完全に乾燥したら、好みのカラースプレーで塗装します。これも薄く、数回に分けて塗り重ねるのがコツです。
カラー塗装が乾燥した後、ウレタンクリアスプレーでコーティングします。これにより塗膜の強度と艶が格段に向上します。
塗装を完全に乾燥させます(1週間程度が理想)。その後、慎重にパーツを組み付けて完成です。



しっかり準備して、仕上がりの質が良い塗装を…
クロモリフレームの塗装を剥がすコツ


「クロモリ(クロムモリブデン鋼)」は、鉄をベースとした合金であり、独特のしなやかな乗り味から根強い人気を誇るフレーム素材です。このクロモリフレームの塗装を剥がす際には、素材特有の性質を理解しておくことが大切です。
最大の注意点は、「錆びやすさ」です。クロモリは鉄であるため、塗装や防錆処理がされていない地金の状態で放置すると、空気中の水分と反応してすぐに錆びが発生してしまいます。特に湿度の高い日には、数時間で表面が赤茶色に変色し始めることもあります。
したがって、クロモリフレームの塗装を剥がす際は、剥離から防錆処理までの工程をできるだけ間を置かず、迅速に行うことが求められます。塗装を剥がし、洗浄・脱脂を終えたら、その日のうちに下地塗装であるプライマーサーフェイサー(プラサフ)を吹き付けるのが理想的です。
プラサフには防錆効果があるため、地金が直接空気に触れるのを防ぎ、錆の発生を抑制できます。
もし、すぐに塗装作業に移れない場合は、室内などの湿度の低い場所で保管し、作業再開直前に再度サンドペーパーで表面の錆を軽く落とし、脱脂してからプラサフを塗布するようにしましょう。



この「錆びさせない」という意識が、クロモリフレームの再塗装を成功させるための最も重要なコツと言えます。
自転車の塗装剥がしにおすすめのグラインダー


時間と労力を大幅に節約したい場合に活躍するのが、ディスクグラインダーです。ただし、前述の通りフレームを傷つけるリスクも高いため、使用には慎重さが求められます。ここでは、自転車の塗装剥がしに適したグラインダーと先端工具(ディスク)の選び方を解説します。
グラインダー本体の選び方
自転車のフレームのような繊細な対象物に使用する場合、回転速度を調整できる「変速機能付き」のディスクグラインダーを選ぶのが望ましいです。回転速度を低めに設定することで、削りすぎを防ぎ、コントロールしやすくなります。
価格は5,000円程度の安価なモデルからありますが、安全性を考慮すると、信頼できるメーカーの製品を選ぶことをお勧めします。


おすすめの先端ディスク
グラインダーに取り付けるディスクの種類によって、仕上がりや作業効率が大きく変わります。
1.ナイロンディスク(不織布ディスク)
ナイロン繊維に研磨砥粒を塗布したディスクです。ワイヤーブラシほど攻撃的ではなく、母材を削りすぎずに塗膜だけを剥がしやすいのが特徴です。サビ落としや塗装剥がし、下地処理まで幅広く使え、比較的安全に作業できます。目の粗さも種類があるので、用途に合わせて選びましょう。


2.カップワイヤーブラシ
お椀型のブラシで、広い面を効率よく研磨できます。塗装を強力に剥がせますが、その分フレームに細かい傷がつきやすいです。塗装剥がしを主目的とするなら有効ですが、後の研磨作業が増えることを覚悟しておく必要があります。


3.べベルワイヤーブラシ
毛が斜めに植え付けられたブラシで、角や隅などの細かい部分の研磨に適しています。カップワイヤーブラシと併用すると良いでしょう。


グラインダーを使用する際は、必ず保護メガネを着用し、ディスクの回転方向に人がいないことを確認するなど、安全に最大限配慮してください。



いきなりフレームに当てるのではなく、不要な金属片などで練習してから本番に臨むのが賢明です。
自転車の塗装剥がしにおすすめのヤスリ


地道な作業になりますが、フレームへのダメージを最小限に抑え、確実な作業ができるのがヤスリ(サンドペーパー)を使った手作業です。仕上がりを左右する重要な道具であり、適切な種類と番手を選ぶことがポイントになります。
サンドペーパー(紙やすり)の番手
サンドペーパーの番手(#で表記)は、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。塗装剥がしから下地仕上げまで、複数の番手を段階的に使っていくのが基本です。
1.#80~#180(粗目)
頑固な塗装やパテを大まかに削り落とす際に使用します。切削力は高いですが、深い傷が残ります。
2.240~#400(中目)
粗目でついた傷を消しながら、表面をならしていく工程で使います。塗装剥がしのメインの番手とも言えます。
3.#600~#1000(細目)
下地処理の最終仕上げに使用します。プラサフを塗る前の表面を滑らかに整えることで、本塗装の仕上がりが格段に向上します。
耐水ペーパー
水をつけながら使用するタイプの、サンドペーパーです。削りカスが水で流されるため目詰まりしにくく、より滑らかな面に仕上げることができます。下地処理の最終段階(#600以降)で使うのが一般的です。


特殊なヤスリ
紙状のサンドペーパー以外にも、便利な研磨材があります。
1.研磨スポンジ(ケンマロン、スコッチブライトなど)
スポンジに研磨粒子が、付着したものです。曲面によくなじむため、自転車のパイプ形状にフィットしやすく、非常に作業しやすいのが特徴です。足付け作業にも最適です。


2.ワイヤーブラシ
BB周りやドロップアウトエンドなど、サンドペーパーが入りにくい複雑な箇所の塗料を掻き出すのに役立ちます。真鍮ブラシはステンレスブラシより柔らかく、母材を傷つけにくいです。
作業のコツは、ペーパーを贅沢に使うことです。目詰まりしたペーパーを使い続けると効率が落ちるだけでなく、綺麗に研磨できません。



こまめに新しいものに交換しながら、作業を進めましょう。
自転車の塗装剥がしでよくある質問


ここでは、自転車の塗装剥がしに関して、多くの方が抱く疑問とその回答をまとめます。
- 剥離剤を使わずに塗装を剥がせますか?
-
はい、可能です。剥離剤を使わない場合、サンドペーパーやワイヤーブラシ、電動工具(グラインダーなど)を使って物理的に削り落とす方法があります。特にカーボンフレームの場合は、剥離剤が使えないためこの方法しか選択肢がありません。
ただし、自転車の焼き付け塗装は非常に強固なため、手作業だけで完全に剥がすのは膨大な時間と労力を要します。グラインダーなどの電動工具を使えば時間は短縮できますが、フレームを傷つけるリスクが高まります。
効率を考えると、金属フレームの場合は剥離剤である程度塗膜を弱らせてから、残った部分をサンドペーパーで仕上げるのが現実的な手法と言えるでしょう。
- アルミフレームの光沢を活かした仕上げは可能ですか?
-
塗装を完全に剥がし、アルミの地金を磨き上げて光沢を出す「バフ仕上げ」は可能です。鏡のように輝くフレームは独特の魅力があります。
しかし、これには大きな課題が伴います。アルミは非常に酸化しやすい金属で、磨き上げた直後から空気中の酸素と反応して表面に酸化被膜を形成し、数時間で輝きが曇り始めます。この美しい光沢を維持するためには、磨き上げた直後にクリア塗装を施して、空気に触れないようにコーティングする必要があります。
ウレタンクリアなど強固な塗膜で保護すれば光沢を長持ちさせられますが、均一で美しいクリア塗装を施すのは非常に高い技術が求められます。また、磨き作業自体も大変な労力が必要です。
- 古いビンテージバイクの塗装が全く剥がれません…なぜですか?
-
40年、50年前の古い自転車に使われていた塗料は、現在の塗料とは成分が大きく異なる場合があります。当時の塗料には、環境問題などから現在では使用が禁止されている強固な原料が含まれていることがあり、現代の市販の剥離剤では全く歯が立たないケースが存在します。
様々な剥離剤を試しても効果がない場合は、物理的に削り取るしかありません。サンドブラスト処理を行っている専門業者に相談するのが最も確実な方法と考えられます。プロのフレームビルダーによると、このようなケースは珍しくないようです。



よくあるQ&Aも、参考にしてください。
【総括】正しい知識で自転車の塗装剥がしを成功へ
この記事では、自転車の塗装剥がしに関する様々な情報をご紹介しました。最後に、プロジェクトを成功に導くための、重要なポイントをまとめます。
- 塗装剥がしは再塗装の仕上がりを左右する、最も重要な下地処理工程である
- 主な方法には剥離剤、手作業での研磨、電動工具、サンドブラストの4つがある
- 各方法にはメリットデメリットがあり、予算や環境に応じて選択する
- 自分で作業する場合の費用は、道具代で数千円〜10,000円程度が目安
- 業者に剥離を依頼する場合の料金相場は、10,000円台からが一般的
- 再塗装までプロに依頼すると、デザインにより総額30,000円〜100,000円以上かかる
- 作業時は保護メガネ、耐薬品性手袋、防毒マスクなどの安全対策を徹底する
- カーボン素材のフレームやパーツには、強力な剥離剤を使用してはならない
- クロモリフレームは錆びやすいため、塗装剥がし後は迅速な防錆処理が不可欠
- 剥離剤や手の油分は、新しい塗料を弾く原因となるため完全に洗浄・脱脂する
- 古いビンテージ自転車の塗装は、現代の剥離剤では剥がれない場合がある
- グラインダーは作業が速いが、フレームを傷つけるリスクを伴うため慎重に扱う
- ヤスリでの手作業は時間がかかるが、確実で失敗が少ない方法である
- サンドペーパーは粗目から細目へと、段階的に番手を上げていくのが基本
- 市販の剥離剤は強力だが、危険性も高いため取り扱い説明をよく読んで使用する
【参考】
>>0歳を自転車でおんぶする際のヘルメット着用って?様々な注意点とは
>>自転車インチの測り方を完全ガイド!身長に合う適切なサイズの選び方
>>自転車のキャリーケース運び方って?基本ポイントと注意点を解説
>>自転車のギアチェンジをこぎながら正しく行う方法って?具体的なコツ
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